日本刀文化の未来を拓く
現代最高峰の刀匠
埼玉県
KAWASAKI AKIHIRA
千年の時を超えてもなお、
名刀と呼ばれる一振りを。
美と力、威厳と霊性を兼ね備えた
刀を鍛え続ける──刀王・晶平
1968年、大分県生まれ。明治大学政治経済学部を卒業後、一般企業に入社。
1994年、宮入小左衛門行平氏に師事し、1999年に文化庁より作刀承認を受ける。
2003年、新作刀展覧会にて文化庁長官賞を受賞。その後も新作日本刀・刀職技術展覧会において経済産業大臣賞を三度受賞し、確かな地位を築いた。
現在は埼玉県美里町に「晶平鍛刀道場」を構え、伝統を受け継ぎながら未来へ残る名刀を生み出し続けている。
比類なき芸術性と技を兼ね備え、現代刀を代表する作家のひとりであり、その作品は国内外の愛好家を魅了し続けている。
東京国立博物館で見た正宗の一振り──その美に人生を奪われた。
大学を卒業し一度は会社員として働くも、鋼の世界への情熱を捨てきれず、名匠・宮入小左衛門行平の門を叩く。
入門からわずか三カ月で破門されるという衝撃の幕開けから、川崎晶平の修業時代は始まった。
再び許されて以降の道のりも決して平坦ではない。給金も明確な指導もなく、技術はすべて「見て盗む」。その環境のなかで彼は、自らを律し、鍛え上げることこそが作刀の核心であると悟る。
川崎の作風は、日本刀の五大流派のひとつ「相州伝」。なかでも刃に宿る錵(にえ)と、地鉄に現れる地景(ちけい)の構成美に真価がある。6〜8回におよぶ折り返し鍛錬で生まれた鋼は、銀河のような粒子の輝きを放ち、一本一本が天体のような存在感を持つ。
彼が理想とするのは「水面の底が透けるほどの透明感」。その地鉄は水草が揺れ、魚が泳ぐ情景さえ想起させる。力と静けさを同時にたたえた、美の極北がここにある。
1999年に文化庁作刀承認。初出品で新人賞と優秀賞を同時受賞し、以後も文化庁長官賞や経済産業大臣賞を含む名誉ある賞を連続受賞。現代刀匠界において安定して「一席」を獲り続ける稀有な存在である。
その活動は世界へも及び、『ヱヴァンゲリヲンと日本刀展』の公式刀制作やスペインでの講演、ポーランド大使館への奉納など、伝統とポップカルチャー、外交と芸術を横断する。
彼の刀は、日本文化の最前線で世界と交わっている。
川崎晶平の目指す刀とは、芸術でも工芸でも武器でもない。千年後にも「名刀」として讃えられる、精神と美と力を備えた“存在”である。すべての新作が自己の最高到達点でありながら、さらにその先を見据えて技術と感性を更新し続ける。
2025年には大阪で初の個展「錵の宙」を開催し、“過去最高傑作”と称される刀を披露。
その創作はすでに次のフェーズへ進んでいる。
東京から車や新幹線で約2時間。静かな山間に佇む晶平鍛刀道場は、鋼と精神が響き合う聖域。
炎と鉄の音に包まれるその場で、刀が生まれる瞬間に立ち会う──それは、人生の価値観を変える体験となるだろう。